水漏れを検針票で知った日

子どもたちも家を離れて、夫婦二人だけになった暮らしで、電気代、水道代は一番に目に見えて減った。だって生駒でトイレつまりがでるとどこにも節約せずとも自然な生活習慣で、嫌でもそれらの光熱費は減るものだ。ところがある日、水道の検針票がきて驚いた。二か月に一度、上下水道の料金請求が来る。うちは、普段はこの地域での平均的な金額だ。しかし、その月にきた請求料金はその倍近くだった。検針票とにらめっこする間もなく、親切に別紙に注意書きがあった。「水漏れの疑いがあります。パイロットが回っています。1分間ほど見ているとそれがわかります」のようなことが書いてあった。もちろん検診員さんの自筆ではなく、あらかじめ印刷された注意書きだ。こういうことはよくあるのだろう。準備している注意書きらしい。読んだ瞬間、頭の中にはクエスチョンマークが飛び交った。パイロット? なに、それ? 飛行機の操縦士以外の意味は知らなかった。だから、いったい何? しかも料金があっと叫ぶほど高い。そのほうは簡単明瞭、よくわかった。普段の水使いしかしていないので、これはおかしい。とにかく庭へ出てメーターボックスを開けた。そこを開けるのすら、かなりまれなことだった。1分間凝視しなくても、パイロットと呼ばれるものがゆっくりと回転しているのはすぐにわかった。後で聞けば、時々はパイロット(水漏れ)のチェックは必要だとのことだった。そんなことすらせずに、料金の高さにおろおろしてしまった。借家なので、あとは管理業者に連絡し、その後専門業者が来てくれた。車を止めている場所の地面の一部だけが、緑の苔がうっすらと生えて湿っぽいというのはわたしも家族も感じていたが、検針票で知らされるまでは、それが水漏れの事実と結びつかなかった。結びつけようという知識すらないのだった。やはりその部分の水道管に継ぎ目のはずれが生じていたという。おろおろした料金も、翌月の料金から差し引いてもらえてほっとした。しかし水道企業団の注意書きにも、今後2年以内は再度水漏れがあっても料金減免の対象にはならないと明言されている。生活に欠かせないものは、そのチェック管理は生活者の責任でもあるということを思い知ったできごとだった。